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イーサネットの基礎

イーサネットの基礎

LANの代名詞Ethernetの基礎知識。

オフィスやラボに配置された多数のコンピュータは、一つのネットワークとして結ばれファイルの共有やデータのやり取りをしています。
一般に会社の事業所内や家庭内など、比較的小さなエリアにまとまったネットワークのことを「LAN:(Local Area Network)」と呼びます。
ネットワークというとインターネットを指すことも多くなりましたが、インターネット(INTER:相互の、NET:ネットワーク) は世界中のLAN を結んだネットワークにほかなりません。
そして、現実のほとんどすべてのLANでは、コンピュータ間の接続方式に「Ethernet」を採用しています。
さらに、今ではデータセンターや通信事業者の高速回線、長距離回線などでもEthernet による接続が行われています。
ちなみに、Ethernetの「Ether」を辞書で引くと、【化学や医学で使うエーテル/天空・青空/天空上層の空気】とあります。
真意はわかりませんがうまいネーミングだと思います。


Ethernetは、1970年代に米国ゼロックス社のパロアルト研究所で開発された歴史を持つデータ通信方式です。
1973年5月22日に特許登録されたことから、この日をイーサネットの誕生の日とすることも多く、はじまりから40年以上を経たことになります。
Ethernetはその後、公的な規格に昇格しています。
規格の策定を行っているのは、IEEEの802プロジェクト中の第三委員会です。
このことから、規格の番号はIEEE802.3シリーズとなっています。
802 プロジェクトはIEEEの中でLANを担当しており、無線LAN などの策定も行っています。

ちなみに、プロジェクト番号の802は1980年2月にスタートしたことから付番なされたといわれています。
実際の方式名称は図のようになっており、Ethernetの名は俗称・総称となっていますが、後述のようにファーストやギガビットといった語を付して意味分けされる場合もあります。


Ethernetのトポロジーは当初はバス型でしたが、その後スターとなって各端末はハブやスイッチにぶら下がった構造をしています。
基本的・物理的な接続はワイアで、媒体は同軸ケーブルからツイスト線、そして光ケーブルへと変遷があります。
規格自体の性格も当初のLAN構築を旨としたものから、対向する機器間の通信方法を規定するものへとニュアンスが変わっています。
なお、Ethernetで接続したからといって必ずデータ交換できるわけではありません。
IEEE802.3が規定しているのは、通信接続を確立する下層のレイヤ(物理層/MAC 層)であって、その中でどんな形式のデータをやり取りするかという利用形態(上位レイヤ)はユーザに委ねられているからです。
これは、電話(下位レイヤ)が開通しても互いの言語(上位レイヤ)が異なれば意志が通じないのと同じですが、別な見方をすれば、適用範囲をオープンにしたことがEthernetがさまざまなアプリケーションの通信インフラとして広く受け入れられる要因となったとも考えることができます。


Ethernetが身の回りに広く普及したのは802.3i:10Base-T(1990年)と802.3u:100Base-T(1995年)の登場以降です。
この時期はパソコンとインターネットの普及に重なったこともあり、急速に普及しました。
100Mbpsの100Base-T(802.3u)などは現在も家庭やオフィスの主流です。
とはいえ、進化がそこで止まったわけではありません。
誕生してから40年間、Ethernetは周辺技術や利用環境の進歩に合わせて休むことなくバージョンアップを続けています。
とりわけ高速化に対応した技術の進化は著しいものがあります。
Ethernetの適用範囲は、インターネットにけん引されたネットワークの急激な進化に合わせてオフィスなどのLANからデータセンターや通信事業者のデータ通信などの領域にまで広がりました。
これらの新たな用途では大容量のデータを扱うので通信には高速・大容量性能が、通信距離などもLAN のスケールを超えたものが要求されます。
これに応えるため、IEEE802.3は高速度な規格を次々と打ち出し、ネットワーク機器もそれに対応しています。
速度が1Gbpsを超えるEthernetはギガビットイーサネット(GbE)などと呼ばれますが、1Gbps→10Gbps(10GbE)→40/100Gbps(40/100GbE)と進化し、400ギガのGbE も策定が進んでいます(2015年現在)。

図2:主な方式の概要

応用の拡張や機能の拡充に並行して、関連する周辺機能の開発も進みました。
たとえば、PoE(Power over Ethernet)はその一つです。
PoEはEthernet の配線で利用されるケーブルを通じて電力を供給する技術です。
IEEE802.3afおよびIEEE802.3atとして標準化され、電力供給の困難な場所に設置されたWebカメラや無線LANアクセスポイントなどで便利に利用されています。

無線LAN(IEEE802.11)もまたEthernetからの派生技術といえるでしょう。

Ethernetはワイア接続を基本としていますが、無線LANは端末と無線で接続を実現し、携帯端末などの利便性を大きく向上させました。
その無線LANもまた、Ethernetの高速化に合わせるようにして高速化の道を歩んでいます。(図3参照)
Ethernetの進化と拡大はこれからも続くと考えられます。

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