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Bluetoothのしくみ

Bluetoothのしくみ

Bluetooth(ブルー・トゥース)は室内や人の手が届く範囲といった近距離にあるデジタルの機器と機器を無線で結ぶ技術規格です。
ネットワークの観点からすれば、WPAN(Wireless Personal Area Network)の典型です。
今ではパソコンやスマートフォンにもBluetooth機能が搭載され、通話や曲を聴く場合もヘッドセットとの間をワイヤレスにできますし、ゲーム機であれば隣の部屋にいる相手と対戦することも可能です。(図1参照)

図1:Bluetoothのロゴと機能を搭載したスマートフォン

たとえば、家電製品をリモコン操作する場合、リモコンと本体とをケーブル(電線)で結ぶ方法や赤外線通信(IrDA)を使う方法が考えられますが、Bluetoothはこれらを無線に置き換える技術です。

線の引き回しや光を当てるといった煩わしさが無く、部屋の中や車の中、屋外でも便利である上、音声程度までのデータ転送速度も持っていることなどから、心拍数モニタや血糖値測定器など医療やスポーツ等におけるウェアラブル機器、さらにスマートホームやセンサネットワークへの応用なども見込まれています。(図2参照)

ちなみに、Bluetoothという名前は、10世紀頃に北欧の統一と支配を成し遂げたバイキングの王様の呼び名に由来しています。
現在の推進母体はBluetooth SIG(The Bluetooth Special Interest Group)です。

図2:Bluetoothのアプリケーションイメージ
画像はBluetooth SIGのホームページより  
(http://www.bluetooth.com/Pages/using-bluetooth-products.aspx)

Bluetoothはピコネットと呼ぶ小規模なネットワークを構成することもできますが、実質的には特定の機器と機器を1対1で結ぶ通信です。
対向する二者はマスタ・スレーブ方式で互いを認識しセキュリティを確保する「ペアリング」を行った後に接続が確立され全二重( 同時双方向) 通信できます。
通信に使う周波数は2.4GHzのISM帯で、そのほぼ全域を使用します。
(2.4GHzISMバンドについて参照)

デジタルデータを搬送波(電波)に乗せる一次変調としてBluetoothでは主にPSK(位相シフトキーイング:後述のバージョンにより方式が異なる)を用いていますが、ISM帯の混雑を避けるため最終的(二次変調)には周波数を短い時間の間に次々と切り換える周波数ホッピングによる周波数拡散を採用しています。
周波数ホッピングはノイズや混信に強く秘匿性が高い特長があり、Bluetoothでは1MHzおきに設定された最大79チャネルの何れかを移動します。


Bluetoothが提唱されたのは1999年のことで、以降のIT 環境の急激な進化に合わせて技術仕様も大きなバージョンアップを繰り返し、今に至っています。(図3参照)
(2014年12月時点でのコアバージョンは4.2)
バージョンアップの内容は通信速度およびデータ容量アップと消費電力の低減が主ですが、ソフトウェア処理上の改訂もあります。
規格ではバージョン毎に機能を追加するかたちにすることで旧バージョンとの調和が図られています。

ちなみに、Ver4.xはコイン電池で動くようなアイテムへの対応を意識して思い切った低消費電力化を目指したバージョンで、「Bluetooth SMART」と呼んで他と区別されます。(Ver3.xまでの機能を併せ持つ機器はBluetooth SMART READYと呼ぶ)


Bluetoothの無線部分( 物理層) について述べてきましたが、Bluetoothはデジタルの機器と機器、つまり「ふたつのデジタルアプリケーションを(無線で)結ぶ」技術規格であって、機器のソフトウェアについても規定が及びます。
Bluetoothにつながる機器はさまざまで、それぞれ機能が異なるため、アプリケーションを結びつけるデータの最適な処理方法は機器毎に異なるからです。
このため、Bluetoothではプロファイルという方法で、機器別にリンク層からアプリケーション層にまたがるプロトコルのスタックを定義しています。
この点においては、Ethernetなどのようにアプリケーション( 通信の内容) をユーザに開放してプロトコルはTCP/IPなど世界標準に委ねる接続規格とは性格が異なります。


プロファイルには起動や同期の手順といった基本的なものからヘッドセット、オーディオ配信といった機器特有なものまで多種・多数あり、実際にはこれらを組み合わせて実装します。
そして、同じプロファイルと対応アプリケーションを実装した機器間でのみ通信できる仕組みです。

プロファイルを自ら定義して使用することもできますが、通信する相手方にもおなじプロファイルが実装されていなければならないことから、あまり実用的ではありません。

このため、ほとんどはBluetoothSIGが認めたオープンなプロファイル群が使われます。
合わせて、パソコンやスマートフォンなど接続対象となる機会が多いものでは、汎用的なプロファイルをOSに含めてリリースされるようになり汎用性が増しました。(図4参照)

図4:OS でサポートするプロファイルの例

Bluetoothはアプリケーションまで規定が及ぶ、言うなれば「しばりのキツイ」接続技術であり、導入のハードルが比較的高いことなどから、世の中への普及速度は他の無線接続などと比べて早いとはいえません。
特に日本では浸透に時間がかかっています。
しかしながら世界的には、その利便性から搭載機器の数は年々増え続けています。
測定器などの開発機器やマイコン・専用モジュールなど製品化に必要なハードウェア・ソフトウェアも充実しています。
Bluetoothは今後も進化を伴いながら応用範囲を拡大し発展していくでしょう。

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