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周波数カウンタとその使い方

周波数カウンタとその使い方

基本計測器のひとつである周波数カウンタの原理と、基本的な使い方について知っておきましょう。


正弦波信号は、周波数と振幅、それと位相の三つのパラメータで記述できます。さらに、全ての繰り返し信号は正弦波信号の和として表すことができます。このことからも、周波数と、その逆数である周期(=時間)は、電気信号計測の基本パラメータであると言えます。

また、デジタル信号(パルス波)においては、パルスのタイミング(パルスの間隔やほかのパルスとの時間関係など)が重要な要素です。従って、デジタルの世界では、時間計測を行う機会が多くあります。
周波数と時間の計測用途に使われる基本的な計測器が、周波数カウンタやユニバーサルカウンタなどのカウンタです。

図1、および図2に、カウンタの原理図と各部の波形を示します。

図1:カウンタの原理

図2:各部の波形

計測信号(A)は、波形整形回路で、パルス列(B)に整形されます。
一方、基準時間パルス発生回路では、水晶発振器などの信号を元にして、1秒、10秒、あるいは0.1秒、1ミリ秒といった正確な時間幅を持ったパルス(C)を作ります。
ゲート回路は時間信号(C)で計測信号のパルス列(B)をスイッチします。
今仮にCが1秒のパルスであるとすると、ゲート回路の出力(D)は、1秒間における計測信号のパルスの数になりますから、これを計数回路で数えて表示すれば、それは1秒あたりのパルス数、即ち周波数(Hz)になります。


もし、基準時間パルスの幅が10秒であれば、0.1Hz単位の表示ができ、逆に、1ms(1/1,000秒)であればkHz単位、1μs(1/1,000,000秒)であればMHz単位で表示されることになります。
計測信号の周波数が低い場合に表示分解能を上げるには、基準時間パルスの幅を非常に長くする必要がありますが、こうした場合は、時間パルスを短くした上でゲート回路の信号(BとC)を逆にして計測信号で時間パルスをスイッチすることで計測信号の繰り返し周期を測り、表示の時に逆数(周期=1/周波数)を計算して、周波数を表示します(レシプローカル方式)。

ユニバーサルカウンタは、周波数カウンタの機能を拡大したカウンタで、パルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間幅を計測したり、二つの信号の時差を計測できるようにしたものです。


カウンタを使って計測する場合に考えられる誤差は各種あります。例えば、基準の時間パルスに誤差があると、正しい計測値は得られません。また、デジタルですから、プラスマイナス1カウント分はどちらに転ぶか解りません。しかしながら、これらの不確かさは、信頼のできる計測器を使い、十分な分解能が得られる設定にすれば回避できます。


実際にカウンタを使用する上で不確かさを生じ易いのは、計測信号をパルス列に変換する部分です。
計測信号からパルス列を作るには、ある境界の値(スレッショルドレベル:閾値)を定めて、信号がこの値を越えたときにパルスが立ち上がるようにします。カウンタでは、この値をオシロスコープなどと同じようにパルスを発生する”引き金(Trigger)”になるという意味で、トリガレベルと呼ぶのが一般的で、トリガレベルは自動設定できたり外部可変になっていたりします。

図3:ノイズによる不安定なトリガ

しかしながら、計測信号はアナログであり、少なからずノイズを含んでいます。このため、厳密には信号がトリガレベルを過ぎる点の付近では、境界を上下することになり、パルスの立ち上がりが不安定になったり(図3)、余分なパルスができたり(図4)してしまいます。

図4:ノイズによる不正なパルスの生成

この問題を解決するために、通常のカウンタでは、トリガレベルに僅かなヒステリシス(履歴特性)を持たせることによって、できるだけ安定なパルスを得るようにしています。
また、繰り返し計測をしてその平均を採ることで、不確かさを少なくすることもできます。しかし、ノイズが多いと不安定になるという事実には変わりがないので、計測に当たっては、ノイズの少ない十分なレベルの信号を加えるよう心がける必要があります。

図5:信号の終端を忘れずに

さらに、高周波の信号では、反射によって波形が乱れ、同様の事態が起こることがあり得るので、高周波の計測ではカウンタの入力端子のところでインピーダンスマッチングのための終端をします。(図5)

図6:ケーブルでの信号遅延も頭に入れる

また、高速な二つの信号の立ち上がりの時間差計測などでは、接続するケーブルの長さが異なると、ケーブルによる遅延に時間差を生じるため、誤差の原因になります。
この場合、同軸ケーブルなどでは、1メートルでおおよそ10nsの遅れがあると憶えておくと役に立ちます。


周波数や時間を計測する基本計測器としてカウンタがありますが、周波数や時間の応用計測として最近需要が多いものに、ジッタの計測があります。ジッタとは”パルスの時間的な揺らぎ”のことです。ジッタの計測には、カウンタを発展させたジッタメータや、ジッタアナライザなどが用いられます。

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