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計測器玉手箱

アッテネータとその使い方

アッテネータとその使い方

アッテネータ(減衰器)は、信号を減衰させるだけの単純なアイテムですが、電子計測では計測の補助具として大切な役割を果たします。
アッテネータ(Attenuator 以下ATTと表記)は、減衰器とも呼ばれ、信号を減衰させるだけのアイテムです。
機能も仕組みも単純な補助具ですが、電子計測で大切な役割を果たします。
ATTは電気信号だけでなく光などほかの物理量計測にも使われ、光を扱う場合は光アッテネータなどと呼ばれます。
以下は電気信号用のATTについての説明です。


電気信号用ATTの内部は抵抗器で構成されているので、「抵抗減衰器」と呼ばれることがあります。
抵抗器を使って信号を減衰させるには、図1のように2本の抵抗で分圧回路を作ったり半固定抵抗器(回路的には分圧器と同じ)を使ったりすることができますが、ATTと分圧回路とは全く別のものです。

例えば、図1の分圧回路は、分圧比(2本の抵抗値の比)によって入力側・出力側双方から見込んだインピーダンス(抵抗値)が変化します。
しかし、ATTでは信号が減衰するだけで、インピーダンスは変わりません。

図1:分圧回路

つまり、ATTは定インピーダンス性が保証されています。
意味を明確にするために、ATTを「定インピーダンス・アッテネータ」と表記することもあります。


オーディオなどでは定インピーダンス性が保たれていないものでもステップ的にレベルを変えられる部品をアッテネータと呼ぶことがあります。
しかしながら、計測では定インピーダンス性が保たれていないものはアッテネータとは呼ばないのが普通です。


分圧回路ではまた、図1に点線で示した分布容量などの影響を強く受けるため、分圧比に周波数特性を生じます。
これに対して、ATTは広い周波数にわたって減衰量が変わりません。
ATTは広帯域性も保証されているわけです。
(注:もちろん限界はあります)


具体的な電子計測用のATTとしては図2 , 図3のような箱形のものがあります。
これらは「ステップアッテネータ」と呼ばれ、減衰量をスイッチで切り換えられるようになっています。

図2:ステップアッテネータの例(アンリツ)  図3:ステップアッテネータの例(キーサイト・テクノロジー)
図4:固定アッテネータの例(左はキーサイト・テクノロジー、左はBIRD)

こちらは、ステップアッテネータに対して「アッテネータパッド」と呼ばれることがあります。
アッテネータパッドは、その都度必要なものを選んで、あるいは組み合わせて使います。


「電子計測をやっているが、ATTをあまり眼にすることが無い」という人がいるかもしれません。
ところが、そういう人も、実際にはATTの恩恵をたくさん受けています。
というのは、多くの計測器の中にATTが組み込まれているからです。
計測器は大別して、シグナルジェネレータなどの信号を出すタイプのものとアナライザなど信号を受け取るタイプのものがありますが、そのどちらにもATTが組み込まれています。
例えば、デジタル設定式のシグナルジェネレータで出力電圧を設定すると、ジェネレータの内部では出力電圧に適したATTが選択されて、自動的に接続される仕組みになっています。


次は、ATTを使う理由です。
最も分かりやすいのは、計測器の入力にATTを使う場合です。
大きな信号を感度の高い計測器に直接接続すると、計測器が飽和してしまいます。
そこで、飽和を防ぐためにATTを使って信号をある程度減衰させてから計測器に加えるわけです。


その一方で、ATTは計測器の出力側でも頻繁に使われます。
一例として、発振器からレベルの小さな出力信号を得る場合を考えます。
この場合には発振器からはある程度大きなレベルの信号を出力し、その出力をATTで減衰させて使うのが一般的です。
初めから出力レベルの小さな発振器を使えばよいという考えもあるでしょう。
ところが、その場合も、前述のように、発振器の内部ではATTで信号を減衰させています。


では何故発振器の出力にATTを使うのか、その理由を示したのが図5 , 図6です。
どちらも10mVの信号を被計測物に加える方法を示していますが、図5は40dB(1/100)のATTが入っています。
両者は発振器の出力にノイズやDCオフセット(直流成分)を含んでいます。
ノイズは、出力部以降で外部から飛び込んでくる可能性もあります。

図5:アッテネータ無しの接続 1

この場合、ATTを使わない図5の方式では、ノイズやDCオフセットは、そのまま被計測物に加わります。
例えば、ノイズが5mVあると、計測物に加わる信号のS/N(信号対雑音比)は、10mV/5mV = 2 で 6dBしかありません。
これに対して図6では、信号も減衰しますがノイズやオフセットも同じように減衰します。
その結果、信号は図4と同じ10mVであるのに対して、ノイズは図4(5mV)の1/100 に相当する0.05mVになります。
S/Nは 10mV/0.05mV =で200 →46dB とな、ATTの減衰量だけS/Nが向上し、ATTを使わないときに比べて信号品質が格段に向上します。

図6:アッテネータを使った接続 1

図7と図8は、信号の反射に対するATTの効果を示したものです。
パルスジェネレータなどの信号源から出た信号の一部が、被計測物の入力端で反射されると、被計測物に向かって進む信号(進行波)と反射して反対方向へ向かう信号(反射波)とが互いに干渉して信号の波形が大きく乱れます。
こうした場合、図8のように被計測物入力の直近にATTを入れることで、波形品質を改善できます

図7:アッテネータ無しの接続 2

今、仮に図7と図8でATTの減衰量を20dB(0.1倍)とします。
ATTを入れると、進行波はATTで1/10に減衰されて被計測物に達します。
一方、被計測物の入力端で生じる反射波は、1/10に減衰した信号に対して反射し、さらに信号源に向かう際にもう一度1/10の減衰を受けます。
従って、信号源側から見ると、信号は1/10になるのに対して反射は1/100になり、相互干渉が減って波形品質が向上します。
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ATTを、補助具というよりも計測の主体として使う場合もあります。

図8:アッテネータを使った接続 2

図9 , 図10にATTを使った増幅器の利得計測の例を示します。
初めに、増幅器の入力に電圧計を接続してメータの指示値を記録します。(図9)
この場合、指示の絶対値や確度は問題ではありません。
メータが指示する位置だけに注目します。
次に、増幅器の出力にATT(ステップアッテネータ)を通して電圧計を接続します。(図10)
そして、電圧計の指示値が図9と同じになるようにATTの減衰量を調節します。
図9と図10で電圧計の指示値が一致したとすれば、それはATTの減衰量と増幅器の増幅度の一致を意味します。
従って、ATTダイアルの設定値(読み)から増幅器の増幅度が分かります。

図9:入力の指示を記録

このテクニックは、増幅度だけでなく減衰量の計測にも応用できます。
減衰量を計測する場合は、ATTを入力側に接続します。
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ATTを使う上での注意を三つ挙げておきます。
ATTは定インピーダンス性が保証されていると同時に、入出力が定められたインピーダンス関係にあるときに限って減衰量が保証されます。

図10:同じ指示になるようにATTを調節

従って、ATTを使用する際には、入力側と出力側のインピーダンスとATT自身のインピーダンスの三者が一致していなければなりません。(図11)

図11:インピーダンス整合

二番目は、ATTの許容電力を超えないことです。
希にパワーアンプの出力などにATTを接続することがあります。
この時、ATTに加わる電力が許容範囲を超えると発熱で誤差が増したり極端な場合は破損したりしてしまいます。


三番目は、計測器に内蔵されたATTを使う場合です。

初めに述べたように、最近の計測器では内蔵ATTの設定が自動化されているものが多くなりました

ですが、図12に示したようにATTを手動で設定できるものも数多くあります。
この場合、ATTのステップ間のレベルにもセットできるように可変のツマミ(図のFINE)が併用されるのが普通です。

図12:ATTとFINE

FINEの設定範囲は、全値としての設定範囲の空きを無くすため、ATTのステップ幅をやや上回るように設計されます。
ところが、そうすると同じ出力値に対して二通りの設定が存在することになります。
図12のようにATTの減衰を多くしてFINEを大きくする設定と、図13のようにATTの減衰を小さくする代わりにFINEでの減衰を大きくする設定です。

そうした場合は、ATTの減衰が大きい方に設定してください。
FINEで減衰させるよりもATTで減衰させる方が良好な特性を期待できるからです。
このことは、オシロスコープなどを使う際にも通用します。

図13:FINEでの減衰

最後にATTの自作について
ATTは図14 , 図15に示すシンプルな回路で構成されています。
そのため、実験室などではATT自作する例も散見されます。
確かに、無誘導の抵抗を使う、リード線は最短にする、入出力間のシールドを確実にするなど、上手に作れば特性の良いATTを安価に作ることができます。
ですが、ATTの自作は特性の校正設備などがあることが条件です 。

図14:T型ATT

もしそうでないとすると、計測に大きな不確かさを持つ要素を持ち込むだけです。
従って、ATTの自作はあまりお勧めできません。

図15:π型ATT

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