計測器・測定器・パソコン等IT機器のレンタル、
リース、中古機器販売、校正受託ならお任せください

玉手箱

ジッタとその測定

ジッタ(jitter)とは、デジタル信号の「タイミングの揺らぎ」のことです。
ジッターと表記されることも多いのですが、ここではジッタとします。


デジタル信号の品質を示す指標のひとつにジッタがあります。
ジッタ(jitter)とは、主にデジタル信号の「タイミングの揺らぎ」のことです。
多くのデジタル回路は、クロックなどのタイミング信号に基づいて回路全体あるいは接続された機器が手拍子を合わせるように動いています。
言い換えるなら、ジッタによって回路間や機器間相互のタイミング関係が崩れるとシステムが誤動作したり精度が落ちたりします。

図1:デジタル信号のタイミング揺らぎ

たとえば、図2はデータ信号を読み出しクロック(ストローブ信号)の立ち上がりエッジで読み込む例です。
もし、データ信号かクロックのいずれかにジッタがあると、データ(1か0か)の読み違えが起こります。

図2:ジッタによる データ読み込み誤り

一方、図3はA/D変換におけるサンプリング(量子化)の例です。
サンプリングの時間間隔を決めるサンプルクロックにジッタがあると、サンプルされる値にも揺らぎを生じるので入力信号にノイズが含まれたのと同じことになり、精度が悪化します。

図3:ジッタによる サンプリング誤差発生

ジッタは回路や通信経路の雑音、他の回路や外部機器の変動などさまざまな原因によって発生します。
光ディスク信号などでは、機械系の偏心や振動なども原因となります。
同時にジッタはその要因によって現れ方が異なります。
ジッタとは信号のタイミングの揺らぎですが、ひと口にタイミングと言っても、周期、パルス幅、デューティサイクル、あるいは前後のパルスエッジとの時間差などさまざまなものがあります。
揺らぎ(ジッタ)の現れ方もさまざまで、揺らぐ幅は少ないけれども頻繁に起こる、揺らぎは大きいけれども頻度は少ない、速い揺らぎ、ゆっくりとした揺らぎ、量も速度もランダムな揺らぎなど、さまざまです。


ジッタの測定は、はじめに信号のアイパターンを見て全体像を把握するのが一般的です。
アイパターンの各タイミング点における時間軸方向の「ブレ」こそがジッタの正体に他ならないからです。
したがって、ジッタの基本測定ツールはオシロスコープということになりますが、詳細な解析にはジッタ解析のソフトウェアなどを併用されます。
さらに、高速のシリアルインタフェース信号などに対しては専用のデータアナライザなどが使われます。
反対に、機械系を含むような信号速度が比較的ゆっくりしたシステムにはユニバーサルカウンタを使って測定できる場合もあります。


ジッタの解析は、信号の各繰り返しの時間間隔を一つ一つ測定・集計した上で、時間に対する変動パターンを見る「トレンド解析」とブレ幅の生起確率分布を得る「ヒストグラム解析」を行うのが順当な手順です。
たとえば、トレンドデータからはジッタの周期など時間に関する情報を見出すことができ、ヒストグラムからは規則性の有無などがわかります。
ジッタを「一定周波数の信号が、ジッタを引き起こす別の変調信号によって周波数変調されたもの」と考えれば、トレンド解析は変調信号波形を、ヒストグラム解析は変調信号の振幅分布を見ることに相当する、という理解もできます。

図4:ジッタトレンドとヒストグラム

詳細な解析では上記二つの解析結果にさらなる処理を加えて特徴を抽出します。
図5 はトレンドデータをFFT 処理することで揺らぎの周期を抽出した例です。

図5:トレンドのFFT 解析例                (写真はキーサイトテクノロジー)

前述のようにジッタは起こり方がさまざまなので、特徴を抽出されたジッタは分類・仕分けした上で数値評価などを行うと効率的です。
ジッタを仕分けることは、ジッタを引き起こす原因の特定につながり、数値化は信号品質の適切な評価のもとになります。

図6 には仕分ける際のジッタ分類例と考え得る原因を掲げました。
たとえば、回路デバイスの熱雑音などが原因で起こるジッタは、回路の動作タイミングとは無関係で量もランダムなはずですから、ヒストグラムはガウスの分布に収束していきます(ランダムジッタ:Rj)。
これに対して、ほかの特定の要因で起こるジッタはヒストグラムやトレンドが特徴的でデターミニスティックジッタ
(Dj_deterministic:決定論的な)として仕分けできます。
Dj はさらにそれぞれの特徴によって幾つかに細分類できます。

図6:ジッタの分類と考えられる要因

ジッタは最終的に数値化されて評価されることが望まれますが、実際にはジッタのパターン(現れ方)はさまざまなのでその特質を一つの数値で代表させることは難しい面もあります。
たとえば単に「ジッタの総量(Tj) の実効値で比較する」といったことはあまり意味を持ちません。
統計処理を施すとしても、たとえば回路のノイズ等で起こるランダムジッタ(Rj)のヒストグラムは正規分布に近づきますが、集計するサンプルの数(母数)が少ないと裾が狭く(標準偏差が小さく)見えがちといった問題もあります。

したがって、ジッタを数値で評価や比較する場合は、測定および数値算出の条件を統一しておく必要があります。
このため、たとえば高速のインタフェースなどでは規格の中でジッタの制限量を定めているものがありますが、上記を踏まえ、測定と算出の条件が個々に詳しく定められています。
それぞれのコンプライアンステスト( 規格適合性判定試験) 用に条件設定できる測定器やオプションも提供されています。

図7: ジッタ解析可能なオシロスコープと ソフトウェアの例

ページトップへ