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玉手箱

ロジックステートとオープンコレクタ

計測器のデジタル出力端子に現れる信号の性質について。


計測用の発振器(信号発生器)などでは、メインとなる出力のほかに補助的な出力端子が設けられています。

ほかの計測器でも、周辺機器などとの接続用として背面にデジタルインタフェース・コネクタが付いていたりします。


これらの端子は、頻繁に使われる事は少ないため、いざ使おうとしたときに接続方法が解らないということがあるようです。

しかしながら、もし補助出力を上手に使うことができれば、計測器の応用範囲はグンと広がります。
積極的に利用したいものです。


計測器の副次的な出力には、アナログ信号を出力するものとデジタル信号を出力するものがありますが、どちらかというとデジタル出力の方が解りにくいかもしれません。

計測器の出力仕様は、デジタルの補助出力に限定したとしても、これが決まりというものはありません。

従って、利用の際には、取扱説明書で指定された方法に従うことが大切です。

憶測でほかの回路を接続すると、本来の性能が得られなかったり、場合によっては計測器や接続回路を破損してしまう恐れがあります。

図1 計測器背面の補助出力と インタフェースコネクタ (写真はエヌエフ回路設計ブロックのシンセサイザ)

ただ、カタログや取扱説明書を理解するためには、若干の予備知識は必要になるでしょう。
ここでは、そのための知識ということで話を進めます。


デジタル出力の多くは「TTLレベル」の出力になっています。

TTL(Transistor -Transistor Logic)というのは、バイポーラトランジスタを使った論理(ロジック)ICで、デジタルICの元祖のような存在です。

現在ではC-MOSのトランジスタを使ったICが多くなり、元来のTTLが使われることはなくなりました。

しかしながら、デジタルの1と0に対応する電圧の大きさに関しては、その後に出現したデバイスでもTTLで用いた値を採用することが多いため、計測器の補助出力もTTLと同じ電圧の大きさで出力されている、というわけです。


なお、TTLの具体的な電圧値は、ある幅を持って規定されています。

ただし、TTLレベルとして考えるときは、0Vと5Vだと考えて差し支えありません。

実際の出力は、0より僅かに高い値と、5Vより低い値を示しますが、信号を受け取る側(のIC)がこれを(デジタルの)1と0として問題なく判断できるからです。


注意したいのは、TTLレベルという表示は、電圧の大きさを示したものであり、接続できる負荷の条件を示したものではないということです。

実際、同じTTLレベル出力でも、デジタルICを接続することを前提にしているものもあれば、50Ωの負荷抵抗を接続できる計測器もあります。


また、カタログなどでTTLレベルと書かれた後に「負論理」と付記されている場合があります。

これは、0Vがデジタルの1(アクティブ)に対応し、5Vがデジタルの0に対応しているという意味です。

また、ファンアウト某と付記されているものもあるかもしれません。
これは、出力に接続できるデジタルICの入力の最大数を示したものです。

通常は、TTLを接続する場合の数で表しますが、C-MOSのICであれば、表字数よりも多く接続できます。


次はもう少し立ち入った話になります。

図2はロジックICの回路例です。
実は図2は等価回路であり、実際の回路はもっと複雑なのですが、それでも解りにくいので、最大限シンプルに書き換えたのが図3です。

図2:TTL回路

図3の二つのスイッチは連動していますが、一方がオンの時、他方はオフになるように仕組まれています。

今、Vccを5Vとして、Sw1がオン、Sw2がオフだとすると、出力(Output)の電圧は5V(Hiレベル)になります。

一方、Sw1がオフでSw2がオンの時は、出力はGNDと短絡されるため、出力は0V(Loレベル)になります。
なお、このとき回路は電源から切り離される事に注意してください。

図3:TTL出力

図3でスイッチが連動しないとすると、両方がオンまたはオフという状態も考えられます。

このうち、両方がオンするのは電源とグラウンドがショートしてしまうことになるので使えません。

両方がオフする状態は、簡単に言えば出力端子が切り離された状態です。
これを外部から見ると、出力インピーダンスが極めて高くなったことに相当するためHi-Zなどと表記されます。

Hi-Z状態が可能なICは、HiとLoの二つの論理状態(ロジックステート)に加えて第三の状態を作り出せるので、トライステートロジックなどと呼ばれます。


話を計測器のデジタル出力に戻します。

出力仕様のなかには「オープンコレクタ」を採用しているものもあります。

オープンコレクタ出力は、図4のようにトランジスタのコレクタ電極をそのまま出す方式です。
(回路素子にFETが用いられている場合はオープンドレインとなります。)

図4:オープンコレクタ

オープンコレクタは、図3の回路の下半分と同じ動作をします。

つまり、スイッチ(トランジスタ)がオフの時は何もつながっていないのと同じですので、0Vになる保証がありません。
そのため、信号を受け取る側で電圧を設定しなければなりません。

また、スイッチがオンの時はグランドとショート状態になろうとします。
しかし、電源がつながっていないので、このままではトランジスタが機能できません。


このため、オープンコレクタでは、外部で電源との間に抵抗を接続します。(図5)

この抵抗を「プルアップ抵抗」と呼びます。

プルアップ抵抗を接続することで、スイッチがオフの時は出力端子の電圧を外部の電源電圧とほぼ同じにできます(プルアップされる)。

オンの時は外部の電源からスイッチを通して電流が流れ、抵抗の電圧降下分だけ(ゼロ近くまで)電圧が下がります。

図5:プルアップ抵抗

プルアップ抵抗の値は一般に数百Ωから数kΩ程度です。

オープンコレクタの出力端子は、場合によってはリレーを接続できたり、出力を並列接続してOR動作(入力の何れかがオンであれば出力がオンになる論理演算)の回路とすることができます。

ただし、これらは設計の条件によって異なるので、必ず取扱説明書の指示に従ってください。

場合によっては、グラウンドとの間に抵抗を入れる(プルダウンの)指示があるかもしれません。

なお、デジタル出力の殆どは、片側が接地されていることにも注意してください。出力の両電極をグラウンドと異なる電位で使うフローティング接続はできません。


ペンレコーダやFA機器などの出力では、「接点出力」というものもあります。

接点出力は、等価的にではなく、文字通りメカニカルなスイッチ(リレー接点)の端子です。
従ってプルアップ抵抗などは必要ありません。

また、両電極をグラウンドから浮かせた状態で使うことも可能です。
ただし、接点の電圧や電流の値には制限があります。

また、電子回路に接続する場合は、チャタリング(リレー接点が跳ねることによるノイズ)を防止する手だてが必要です。


最後に、一般的な注意事項として、出力の配線はできるだけ短くなるようにし、大きな電流が流れる回路、スイッチング回路、高周波回路、微少信号回路などとはできるだけ離して使うよう心がけてください。

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