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玉手箱

2.4GHz ISMバンドについて

無線の周波数は無限にあるわけではなく、限られた資源です。
同じ周波数を複数の人が使えば混信が起こり、意図するしないにかかわらず地球の裏側や宇宙にまでも飛んでいきます。
したがって、どの周波数を誰がどのような目的で使うか国際的に取り決められ、監督責任が各国の主管庁(注)に委ねられています。(注:日本は総務省管轄 法的には電波法)


無線電波の発射には無線の設備とそれを操作する者について法律に基づいた免許や届け出が必要です。
利用する際に免許が要らないのは、電波が微弱であるか法令によって特別に定められている場合だけです。
携帯電話もBluetoothも無線LANも、電波法の規定によって利用が特別に認められたアプリケーションであり、利用者は免許不要ですが機器自体は認定試験に合格したものでなければなりません。


一方で、電波(電磁波・高周波)を使うのは、無線通信だけとは限りません。
たとえば、電子レンジは電磁波で食品を加熱します。
半導体LSIを製造する際にはプラズマ・エッチングが施されますが、このときにも強力な高周波源を必要とします。
このような無線通信目的以外での電磁波利用には、産業応用、科学技術応用、医学応用などがあり、通信機器と同様に使用する周波数が国際的に定められています。
このための周波数帯は応用分野(Industrial、Scientific、Medical)の頭文字を採って「ISMバンド」と呼ばれます。
またこれらの装置は「ISM機器」と総称されます。


ISM機器が利用する周波数は目的によって異なるため、低周波数からマイクロ波領域までいくつもの周波数帯が指定されています。(図1参照)
このようにISM帯はISM機器が共同利用するために設けられた周波数帯なのですが、実際には限られた資源を有効利用するためにさまざまな無線通信にも重複して割り当てられています。

もしこれらを同時に利用すれば混信や干渉が起きることになります。
しかしながら、ISM帯はISM機器の利用を第一義に考えられているので、他の通信は優先するアプリケーションからの干渉を受忍することが利用条件となっています。
このことは、ISM以外の周波数帯では他の通信と干渉することがないように緻密に周波数割り当てが行われているのと比べて、大きな違いです。

図1: ISM 周波数

ここでは、近年利用アプリケーションが急増している2.4GHz帯を例に見てみます。
図2は2.3GHzから2.6GHzにかけての日本における周波数割り当ての概要です。
この周波数帯の電波は電離層の影響を受けず雑音や大気の減衰も少ないため、宇宙通信などにも向くほか、波長13cm~11.5cmとアンテナ等も扱いやすいので移動通信に適しています。
さらに上下の周波数帯に比べて、適度な直進性と回折性があるほか、デバイスも豊富で屋内レベルの近距離通信にも好適です。

図2:周波数割り当て状況(総務省資料を基に作成)

具体的には図2で2.3GHz帯の放送事業とあるのは、テレビ放送の移動中継などに使われているものです。
2.5GHz帯の移動衛星は衛星携帯や船舶電話の衛星との通信で、広帯域移動無線アクセスシステムは無線によるインターネット接続のための周波数で、「WiMAX」として知られる無線接続などが該当します。


テーマに掲げた2.4GHzでは、当然ながら全域に亘ってISMが第一優先で割り当てられています。
実際に先に挙げた家庭用の電子レンジはこの周波数帯を使っています。
電子レンジは工業用の高周波加熱装置などと同様に、マグネトロン(Magnetron)の空洞共振による発振を利用しているので、周波数や出力の安定度は良いとはいえません。
装置にはシールドが施されているものの、少なからず漏れはあり、周囲では周波数ドリフトを伴った電磁波が観測されます。


この周波数帯では、同時に下半分をアマチュア無線が上限付近には道路交通情報の「VICS(Vehicle Information and communication System)」 用にビーコンが割り当てられています。
移動衛星にも一部使用割り当てがあります(2483.5~2497MHz)。
VICSのアンテナ出力は路側・車載共に10mWですが、アマチュア無線は2400から2450MHz の範囲で移動・固定で2W、月面反射通信を行う場合は100Wまでが許可されます。


そして、他の無線利用としてこの周波数帯では無線LAN、Bluetooth、ZigBee、RFID、デジタルコードレス電話、模型飛行機のラジコンなどがあり、特に近年では無線LANの利用が増えています。
それぞれを概観すると、無線LANではIEEE802.11B、802.11nおよび802.11acが2.4GHz帯を使います。
帯域幅は20MHz、11acでは40MHzを占有し、混信を避けるため複数のチャネルが用意されています(2401~2484MHz/13ch、10mW)。
Bluetoothは2.4GHz帯(2402~2480MHz)を1MHzおきに40~79のチャネルに分け、周波数をランダムに変える周波数ホッピングによる通信をしています。
センサネットワークの代表格でもあるZigBeeは950MHz帯でも使えるようになり移行が進んでいますが、2.4GHz帯のものは2400~2483.5MHzで5MHz間隔に16チャネルが設定されています。
RFIDは工場の生産ラインや荷物の仕分けや識別などに用いる無線タグのことで、2.4GHz帯では構内で使用するタイプと、ごく近い距離で用いる微弱なタイプの二通りがあります。


実際の2.4GHzのISM帯では、ISM機器よりも、むしろこれらの通信アプリケーションによる電波で満ちています。
各々は、独自の周波数を使っていますが、その範囲は大きくオーバーラップしているので相互干渉は避けられません。
そのため、各通信アプリケーションでは周波数ホッピングやOFDMなど干渉に強い変調方式を使うといった工夫を盛り込んで通信の信頼性確保を図っています。

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