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玉手箱

計測とトリガ

電子計測器を扱う上で、トリガの操作は欠かせません。


オシロスコープやカウンタなど、電子計測器を使う上で、トリガに関する設定は基本項目のひとつです。


トリガの設定次第で計測値は大きく変わります。

設定を誤ると、一見正しく表示されている結果が、実は意図しない部分を計測していたということもあります。

高精度な時間計測では、トリガのジッタ(Jitter:タイミングのゆらぎ)が計測値の不確かさに直接影響を与えます。

トリガは、正確な計測を支える要素でもあるわけです。


そもそもトリガとは、銃の「引き金」を意味します。
計測を開始する引き金になる動作 という意味です(図1)。

図2は、周波数カウンタとその使い方に登場した図です。

Bの時間範囲に到来するAのパルスの数を計測する時の様子を示しています。

図1:引き金

計測器(カウンタ)は、Bのパルスを検出してAのパルスの数を数え始めます。
この場合、Bのパルスの立ち上がりが計測を開始するトリガです。

このように、トリガは、どの信号のどのような部分(特長)を捉えるかを定義して計測器に伝える必要があります。

図2:パルスカウントとトリガ

図3はオシロスコープのフロントパネルのトリガに関する設定部分です。

少し分かりにくいかもしれませんが、右側にツマミがあり、その脇にボタンとランプが幾つも並んでいます。

右から2番目が「どの信号をトリガの源にするか」を選択する列です。トリガの源ですからTrigger Source です。

図3:オシロスコープのパネル

オシロスコープの場合は、CH1やCH2など計測信号として接続した信号をトリガ源にできるほか、商用電源(50/60Hzの信号)なども選択できます。


ツマミの下にはSLOPEというボタンが見えます。
これで、トリガ源に選んだ信号の立ち上がりの傾斜部分(SLOPE)を捉えるか、下りの傾斜部分を捉えるかを選択します。

LEVELと表示されたツマミは、選択した傾斜中のどの値(LEVEL)を検出の境界とするかを調節するためのものです。
計測ではこうした境界値のことを、閾値(しきいち :Threshold level)と呼びます。

この場合は、閾値が即ちトリガレベルであり、閾値を超えた瞬間がトリガポイント(計測開始点)です。


なお、一般にトリガによって計測を開始することを、トリガを「かける」と表現することが多いことを憶えておくと良いかも知れません。

ついでにもうひとつ、トリガをかける準備態勢に入り、トリガの待機状態にすることをアーム(arm)と呼ぶことがあります。


ロジックアナライザのように多チャネルのデジタル信号を扱う計測器では、デジタル信号(符号)が特定の値(パターン)になったときにトリガをかけることもできます。

反対に、特定の値から外れたときにトリガを発生できるものや、これらを組み合わせることもできます。このように符号の組み合わせでトリガをかけることを、論理トリガなどと呼ぶこともあります。


テレビ(ビデオ)信号の計測では、垂直あるいは水平同期パルスを検出してトリガをかけたり、特定の部分(ラインナンバー)を指定できるものもあります。


信号の有無を判断してトリガする場合もあります。

例えば、オシロスコープのAUTOトリガは、信号が存在するときは通常のトリガ設定に従ってトリガを発生するほか、信号が一定時間到来しないときにもトリガを発生さます。

その結果、無信号時には画面に水平なラインが出ることになるので、無信号であることをオペレータが確認できます。


最近のオシロスコープでは、連続する信号が一瞬途絶えたときにトリガがかかる機能を持つものもあります。

この機能と、この後に述べる負の遅延を使うと、まれに信号が途絶えることによって起こるトラブルの原因究明などに便利です。


オシロスコープなどにはトリガの遅延(ディレイ:delay)という機能があります。

これは、設定された時間だけトリガ点から遅れて計測をスタートする機能です。

遅延の機能を使えば複雑な波形の一部を精度良く観測できます。

デジタルオシロスコープには、負(マイナス)のディレイがあります。

負のディレイにより、トリガ点よりも以前の現象を見ることができます。

図4:トリガの遅延

トリガという事象よりも時間を遡って表示できるのはちょっと不思議です。

実は、デジタルオシロスコープでは常にデータの取り込みを行っているため(トリガが発生しなければ取り込んだデータは順次破棄される)このようなことができるのです。


最後はトリガのヒステリシス(hysteresis:履歴)について。

図5はトリガの基になる信号とトリガレベルの関係を示しています。
トリガ源となる信号は比較的ゆっくりと上昇しています。

ところが、信号には少なからずノイズがあるので、詳細に見れば、閾値を超えた信号が、一度閾値を下回り、再び閾値を超えるということが起こり得ます。

すると、計測値が不安定になったり、複数のトリガが発生して計測が不能となることが考えられます。

図5:トリガとノイズ

この問題を避けるために、多くの計測器では、初めに閾値を超えた段階で閾値を少しだけ変化させ、その後、信号が多少変動しても、閾値を下回らないように工夫されているものがあります(図6)。

閾値を超えたか否かという過去の履歴によって新たな閾値が決まることから、ヒステリシス(履歴)と呼ばれています

図6:ヒステリシストリガ(トリガがかかると、閾値がaからbに変わる)

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