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【働き方改革:その1】  働き方改革は“社員のため”だけではない!  実は最も恩恵を得るのは…

いま、なぜ「働き方改革」が求められているのか?

少子高齢化、生産年齢人口減少による人材不足は企業にとって大きな問題となっています。日本の生産年齢人口は1997年の8,699万人をピークに減少が続き、2016年には7,665万人と、ピーク時から約1,000万人も減少しています(グラフ1参照)。これは世界共通の動向ではなく、他の先進国に比べ、日本の減少傾向が顕著になっています(グラフ2参照)。

グラフ1:生産年齢人口と総人口の長期推移

グラフ2:生産年齢人口の推移

(出典:政府「働き方改革実現会議」決定の働き方改革実行計画 参考資料より)

こうした状況下、今後も優秀な人材の確保や従業員の定着率の向上を図るためには、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の実現をサポートし、社員のモチベーションを保つ労働環境の整備が欠かせないと言われています。これまで育児世代や介護世代に対し、キャリアの継続を企業側も社員側もあきらめざるをえないケースが多く見られましたが、貴重な労働力として活用し続けるためにも多様な働き方への対応が求められています。

また、政府は2017年3月末に『働き方改革実行計画』をとりまとめ、今後、時間外労働の上限設定を罰則付きの法規制として定める意向で協議を進めています。全ての企業が残業時間の軽減を求められることになるでしょう。

「働き方改革」は、単純に労働時間の短縮や自由な働き方を推進するだけでは、業績に悪い影響が生じかねません。企業としての生産性を損なうことなく、むしろ生産性を向上させる取り組みを行う必要があります。うまく実現できれば、社員はもちろんのこと、企業にとっても人材面、さらには業績面で大きなメリットをもたらすことは間違いありません。

「働き方改革」の実現に必須のIT活用

「働き方改革」で、長時間労働の排除と生産性向上を両立させるために欠かせないのが「IT活用」です。最近の新聞記事からも、働き方改革に企業がIT投資を進める動きがうかがえます。2017年3月9日付日本経済新聞電子版では、『政府が旗振り役となっている「働き方改革」の実現に向けて、企業にとっても生産性の向上が課題となっている。日本経済新聞社が実施した「社長100人アンケート」では経営者の8割が前向きな姿勢を示した。』『人工知能(AI)や(あらゆるモノがネットにつながる)IoTなどの先進技術を積極的に活用し、生産性を飛躍的に向上させる」といったコメントも見られました』と掲載されています。
また、2017年5月22日付日本経済新聞電子版においては、『三菱電機は22日、経営戦略説明会を開いた。出席した柵山正樹社長は働き方改革に関して「定型業務は自動化する。無駄な作業は減らしていく必要がある」と話し、IT関連の設備投資で業務のスリム化に取り組んでいく方針を示した。』と掲載されており、ITによる業務の効率化で生産性を向上させる取り組みが示されています。

それでは、すでに働き方改革に取り組んでいる企業はどのようにITを活用しているのか、具体的企業事例を見ていきます。

テレワークの導入に欠かせない勤務状況の「見える化」

働き方改革の手段といえば、多くの方が「テレワーク」を思い浮かべるのではないでしょうか。「テレワーク」には、自宅を就業場所とする「在宅勤務」、施設に依存せずに仕事を行う「モバイルワーク」、さらにサテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィスなど本社とは別の場所で就業する「施設利用型勤務」が挙げられます。

実際にテレワークを導入するにあたっては、「部下のマネジメントが難しい」「人事評価はどのように行うべきか」といったいくつかの課題をクリアしなければなりません。自動車メーカーのマツダ株式会社では、スーパーフレックスタイム制度(コアタイムのないフレックスタイム制)の導入にあたって、以下のような取り組みを行いました。

マツダ株式会社事例


(出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 取組・参考事例より抜粋)

スーパーフレックスタイム勤務は6割の社員が利用し、月1回以上利用する社員は、事務・技術系の職場の8割に及びました。社員の自律的に勤務する意識がさらに向上したため、コアタイムがなくても業務に支障は生じていないようです。

また、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社のテレワークの取り組みは以下のとおりです。

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社事例

(出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 取組・参考事例より抜粋)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の在宅勤務制度は年々浸透しているようです。制度導入時(2007年)は60名の利用者が、2015年度は約340名までに増加しました。

モバイルワークや在宅勤務を実現するためには、「会社に行かないと(出先から戻らないと)できないこと」を極力なくしていく必要があります。オフィスや自席、あるいはデスクトップPCなどへの依存を薄め、「社員がいる場所がワークスペース」として機能するような環境が求められます。

以前は、セキュリティの担保が難しいという判断から「社内でなければメールの送受信すらできない」という企業も少なくなかったと思いますが、そのような状況のままでは社外で業務を実行することはできません。テレワークにおいては、遠隔地にいる社員といかにコミュニケーションを密にとるかという課題が生じますから、メールはもちろん、グループウェアや社内SNSなどもこれまで以上に積極的な活用を検討していくべきです。

さらに、社内と同じように通常業務を行うためには、社外からでも各種システムやファイルサーバを利用できるようにする必要があります。かつては、業務用のモバイルPCから社内システムへリモートアクセスするといった方法が主にとられていましたが、現在ではクラウドサービスを活用したり、クライアント環境を仮想デスクトップへ移行させたりする企業も増えつつあります。これにより、タブレットやスマートフォンを用いる場合にも、メールチェックやスケジュール確認などの必要最小限の作業を担うだけではなく、在宅/モバイルでもオフィスにいるときと全く同じ作業を行うことができるようになります。

会議の効率化で時間削減、出張費削減

企業全体の生産性を維持、向上させていくために、業務効率化に向けたIT活用を進めている企業もあります。味の素株式会社では、平成26年度の「働き方改革」基本方針の一つに、「ICTを活用した業務効率化」をあげ、以下の取り組みを行っています。

味の素株式会社事例

(出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 取組・参考事例より抜粋)

また、三菱自動車工業株式会社は、新しいITシステムを活用し、各自のPCと簡易な設備のみでテレビ会議の実施を可能にすることで、出張で生じる移動時間等を削減しました。アサヒグループホールディングス株式会社は、テレビ会議システムに加えスカイプの利用も開始し、業務効率化に取り組んでいます。(出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 取組・参考事例)

テレビ会議システムは「会社に行かないと(出先から戻らないと)会議に参加できない」という問題を解消すると同時に、テレワークにおいても、ちょっとした打ち合わせに用いるなど、日常的なコミュニケーション手段として活用されるケースが多くなっています。

企業側こそ、「働き方改革」の大きなメリットあり

「働き方改革」は、社員の労働環境を改善することにスポットが向けられがちですが、大きな恩恵を受けるのはむしろ企業側にあります。「働き方改革」を実現することで、人材不足を補うだけでなく、優秀な人材を確保することができます。また、在宅勤務などの多様な働き方を受け入れることで、出産後の女性社員や介護を行っている社員など、これまで退職せざるを得なかった優秀な社員を引き留めることもできます。企業にとって働き方改革は、自社の無理・むら・無駄をなくし、生産性を向上させ、利益を確保するための重要な取り組みだと言えます。

働き方改革に取り組む上では、まずは経営層が働き方改革の必要性を「経営戦略」として認識することが不可欠です。実際に取り組みを進める段階においても、経営層のリーダーシップが重要となります。情報システム部門をはじめ人事部門や管理部門、そして、業務部門の現場まで、社内のあらゆる部門が相互に協力、あるいは調整を行いながら、業務のあり方、そして、マネジメントのあり方などを見直す必要があるからです。これまでご紹介した企業では、いずれもトップから全社に向けたメッセージが発信されています。

また、ITRの『IT投資動向調査2017』からも、働き方改革に向け、IT投資を重視する傾向がうかがえました。新たな働き方をしくみとして定着させるには、ITの活用、さらにはそれに伴うセキュリティ対策が必須です。

次回以降、働き方改革を進める上での具体的IT活用方法についてご紹介していきます。
【第2回】営業を変革するモバイルワークのIT活用とセキュリティ対策
【第3回】在宅ワークを実現するIT活用とセキュリティ対策
【第4回】働き方改革はオフィスワークも変える

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